論文要旨

干潟にくらす
北九州曽根干潟の専業漁師

平安 啓乃

 北九州市曽根干潟で専業漁師をしている山田氏は、天然ウナギ漁をはじめとする多くの漁業に携わっているベテランの漁師である。山田氏が行なっている漁業の全てには干潟の地形や環境に合わせて様々な工夫があり、伝統的な方法に自らの経験を加味しながらの、日々の思考錯誤があった。古くから漁業を営む場として地域の重要な役割を果たしてきた曽根干潟は、豊かな水産資源を提供し、そこでくらす人々の生活を支えている。しかし、都市近郊にありながら多くの絶滅危惧種が生息し、ズグロカモメをはじめとする渡り鳥が毎年越冬に訪れる曽根干潟は、近年、新北九州空港の建設などにより危機的状況にあるとされ、環境保護の観点から注目を集めている。季節ごとに漁法を変え、旬の魚を採捕してきた山田氏は、干潟を知り尽くした存在であり、漁業に携わるようになって40年の経験からくるそれらの知識は、干潟を保護する上でも必要なものではないだろうか。曽根干潟の専業漁師の漁労活動を通して、その漁獲物の消費などから、漁業者と周辺地域の結びつきを考えると共に、今後の曽根干潟の保護のあり方はどうあるべきかを考察したい。

 

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