論文要旨

地域の学年を越えた縦関係の実態
学童保育における異年齢集団の存在

岩崎未来

 本論文では、社会環境の変化による子ども社会の喪失が叫ばれている現在、共働き・単身家庭の親によってつくられた学童保育を取り上げ、子ども集団がいかに形成されているのかを、異年齢集団の存在という視点から述べていった。
 研究方法としては、北九州市八幡西区本城学童保育クラブで、指導員のお手伝いをしながら子どもたちのグループを記録し、観察データとインタビューの分析に基づいて論を進めた。
 結果として、学童保育クラブでは同年齢集団よりも異年齢集団が多いことが分かった。 しかし、集団形成では男女分離型が多く、学年が上がるに連れその傾向が強まっている。特に、男子には異年齢集団が多く、女子には同年齢集団が多く見られた。
 また、関わり頻度の高い子ども同士には地域性は働いているが、むしろ多様な地域の子どもたちと遊ぶ学童保育では、地域性の影響はないと思われる。
 さらに、グループ構成過程ではリーダー的・尊敬する存在・支配的などの力によるもの、子ども自身の友だちを選択する上での規準、きょうだいの影響又は環境といった要因が考えられる。
 以上のことから、子どもにとって学童保育での子ども集団、異年齢集団の実態を明らかにしつつ、地域の異年齢集団の新しい在り方を考える。

 

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