論文要旨

即時的他者関係に生きる野宿生活者
北九州市の事例から

刈茅 美紗子

断続的・流動的・刹那的・機会主義的な他者関係を本論文では「即時的人間関係」と呼ぶ。野宿生活者の中には一般の人々と比較して、「即時的他者関係」しか結ばないという特徴がある。彼らはどのようなきっかけでそのような人間関係を結ぶようになったのか。北九州市内で16 年以上炊き出しなどの支援活動を続ける北九州ホームレス支援機構も野宿生活者の人間関係を問題視し、「関係性の回復」を重要視している。彼らがそのような即時的な他者関係を結び続ける原因は多様にある。野宿生活前から持ち合わせたパーソナリティや、「ホームレス」というレッテルに自尊心を傷つけ、他者との接触に消極的になったがためだけではない。彼らが即時的他者関係を結び続けれ野は、その日暮の生活感覚、将来設計のなさ、流動的グループ形態など野宿生活開始後の外的要因にも関係している。本稿ではこの点を明らかにすることで、野宿生活者への支援のあり方を提案する。

 

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