論文要旨

10分という時間が意味するもの
子どもの遊びの周期性と同調性について

黒田 清香

子ども達と一緒に遊んでいると、その遊び方には一定のリズムがあるのではないかと感じる。そこでS 施設でおこなわれているサーキット遊びのはしご遊びとすべり台遊びを対象に調査をおこなった。はしご遊びとすべり台遊びそれぞれで、子ども達が来る回数には10 分ごとの波が出来る。子ども達は遊具で遊んでいるが、ある程度遊ぶと満足し、飽きてしまい、子ども達はそれぞれで遊び始める。ここに至るまでの時間が10 分という時間なのである。その後、谷の時にも数人の子ども達が遊具に来て遊んでいるために、再び山が起こって谷が来るということが繰り返されていると考えられる。この波は人がそれぞれ持っているリズムなのではないだろうか。S 施設の子ども達は他者との結びつきが弱い。そのためにこのサーキット遊びにも個人個人の本来持っているリズムが表れていると考えられる。そしてだからこそ、S施設の子ども達は社会関係に捕われない自由な存在であるといえるのではないだろうか。

 

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