論文要旨

スナメリが導く環境教育
小倉北区藍ノ島小学校における環境教育の実践と実態

名越章博

藍ノ島は小倉近郊に浮かぶ小さな離島である。この島の周辺の海域では、現在環境庁のレッドデータブックに登録されている小型のハクジラの一種、スナメリが昔から島民の間で目撃されてきた。しかしこれまでほとんどの島民がスナメリに関心を払うことはなかった。今、この島にある唯一の小学校、藍ノ島小学校において、スナメリを核に据えた環境教育が行われている。児童たちが主体となった学習活動は島民や観光客の環境意識に影響を与え、島全体を巻き込むものになりつつある。
本稿では藍ノ島小学校の環境教育の中心であるスナメリ学習に焦点を当て、筆者自身がいくつかの活動に直接参加することで行った。同時に児童や保護者へのアンケート調査、ならびに島民や観光客にインタビューを行った。その結果、スナメリ学習が人々の意識にもたらした変化と、スナメリを題材とした環境教育が成功した理由が明らかになった。

 

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