論文要旨

学校を創る

大久保 朱乃

2002 年7 月26 日に発足した構造改革特別区域制度によって、地域を限定して特定分野の規制を緩和・撤廃することが可能となった。北九州市は北九州ならではの教育を実現するための学校を設立する教育特別区域(以下「教育特区」)を申請し、認可された。特区の名称は「自立と共生の教育」である。教育特区が認可されたことによって教育課程の基準によらず、学校教育法施行規則で定める授業時数を削減したり、総合的な学習(プロジェクト)の時間の授業数を増加することが出来る。
2006 年4 月開港予定の『ひらおだい四季の丘小学校』は、教育特区制度を利用した、全国で初めての試みとなる。
筆者は、ひらおだい四季の丘小学校の助走段階であるひらおだい自然塾の活動にスタッフとして参加し、主に小学生の子どもたちと過ごした。ひらおだい自然塾では、自然体験を中心とした体験学習をおこなっている。
本調査は2004 年1 月から約1 年間、北九州市小倉南区平尾台にあるNPO法人ひらおだい自然塾(以下、「ひらおだい自然塾」)でおこなった。本論文では、私立・公立小学校に通う子どもたちが、小学校の授業とは極端に異なるひらおだい自然塾で生活し、活動を通して学んでいる様子を記録した。教育特区制度によって公立の小学校よりも学習に様々なアプローチをおこなうことが出来るひらおだい四季の丘小学校が必要とされる背景について触れながら、新しい小学校の可能性を考える。

 

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